
海苔弁当というのは、
いつごろから、定番弁当に
なったのでしょうか。
子供の頃、遠足などの
お弁当のご飯に、
醤油をつけた海苔を
敷き詰めるお弁当は、
わりとポピュラーだった
気がしますが、
お店で売られるお弁当に
海苔弁当が登場したのは、
おそらく「ほっかほっか亭」が
ちくわの天麩羅や
魚フライ、佃煮などを
乗せたものが初めて
だった気がします。
これを、初めて食べたときの
衝撃は忘れられません。
当時若かった僕は、
貧乏でお昼代にも
四苦八苦していたのですが、
これが激安で、しかも
ご飯は炊きたて、
ちくわ天に醤油を
ぶっかけて食べたときは
本当に感動しました。
この値段で、この旨さ、
このボリューム!
当時の値段は
忘れてしまいましたが、
とにかく学食並みの
安さだった気がします。
海苔の下には
醤油味の付いた
おかかが敷き詰めてあったとも
記憶しています。
これが抜群に美味しくて、
幼い頃の遠足の
お弁当が思い出されて、
何だか切ない味に感じました。
それまでのお弁当は、
駅弁の幕の内弁当を
目標にしている感があって、
おかずの品数はなるべく
多く、豪華にする傾向に
あった気がしますが、
「海苔弁当」は当時、
ある種の発明というか、
発想の転換というか、
安くても調理法を工夫して
美味しく仕上げた
シンプルなおかずに、
メインは海苔という
大胆なお弁当だった気がします。
これは、誰でも思いつきそうで
思いつかない画期的お弁当でした。
いまでは当たり前に、
どこのコンビにでも
買えるようになりました。
それほど、普遍的な
欲求に合致したお弁当なのでしょう。
というわけで僕は、これを
「料理百名山」に認定したいと
思います。そんな思い出の
お弁当を売っていた
「ほっかほっか亭」は、
確かいろいろもめて、
「ほっともっと」に
なってしまったお店が
東京では多いように感じます。
が、「ほっかほっか亭」が
お弁当界に残した
足跡はとても
大きいと思います。
ちなみに上の写真は、
セブンの海苔弁当です。
僕の大好きな
明太子が入った贅沢版です。