2016年09月19日

「料理百名山@」吉野家の牛丼

「料理百名山」の選定にあたって
日本百名山の深田久弥に習い、
「品格・歴史・個性」を兼ね備えたものという
基準を設けたいと思います。
ただし、この基準を大きな意味で充たせば
ミシュランや有名グルメ評論家が
絶対に選ばないチェーン店や庶民の味も
選定対象としたいと思います。

吉野家IMG_0099.jpg
そこで、記念すべき1つ目の「料理百名山」は、
ファーストフードとしては老舗、
100年以上の「歴史」を持つ
「吉野家の牛丼」にしようと思います。
その味は、「松屋」や「すき家」、
家で作る高級和牛のすき焼きの残りを
のせた牛丼でも代替することができない
「個性」を持った唯一無二の味です。
チェーン店の味というのは、
冷凍だったり、チルドだったり
あるいはセントラルキッチンでの
大量生産だったりで、
どこも「チェーン店」の味とでもいうような、
独特の代替品のような味がするものです。
つまりその味の目指すベクトルは「本格的な味」
に向いているような気がするのです。
それを、安く早く提供するということを
ビジネスモデルにしているように思えるのです。
対して吉野家の味は、何かの代替ではなく、
「吉牛の味」という、牛肉の料理の仕方の
ある種の頂点を極めているように思うのです。
安い輸入牛をこれほど
おいしく食べることができる幸せ。
店のロゴや、カラーリング、
システマチックに設計された椅子、
テーブルなどの配置、
丼ぶりのデザインに至るまで
数百円で食べることができる
食事処としては、
そのキッチュな感じも含めて
ある種の「品格」を持っていると言って
いいのではないでしょうか。
僕はときどき
どうしても吉牛が食べたくなります。
近くに他の牛丼店があっても
吉野家を探します。
紅ショウガをたっぷり乗せて、
七味をパラパラ振りかけ、
一気に食べます。
ちびちびと上品に食べていては
旨さがわからない。
あったかいうちに、
高校生のように食べる。
てなことを、写真を見ながら
書いていたら、
また食べたくなってきました。








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2016年09月25日

「料理百名山A」鰹節マヨネーズ・スパゲティ

マヨスパIMG_0175.jpg
もう30年以上前に読んだ椎名誠さんのエッセイに
でてきたスパゲティです。
貧乏な若者たちが安く旨いものをと
「発明」した料理のように思われます。
つくり方は簡単。
茹で立てスパゲティの湯を切り
熱々のうちにマヨネーズ、
たっぷりの鰹節に、ほんの少し醤油を加え、
一気に混ぜ合わせれば出来上がり。
たったこれだけで
信じられないおいしさです。
いくらでも食べられます。
これはタラコ・スパゲティに並ぶ
日本人の大発明ではないかと思うのですが、
タラコスパはイタリア人にも考え付くような
気がするのですが、鰹節マヨネーズスパは
日本人にしか考えられない料理だと思うのです。
鰹節とマヨネーズを合わせるという発見、
そこに加わる醤油が2つの味の橋渡しをし、
奇跡の料理を生んだと言っていいでしょう。
この超個性的な味わいは、日本人の本能を刺激する
烈しいうまさですが、もしかしたら外国の方には
鰹節の風味が魚臭く好まれない方も
いらっしゃるかもしれません。
お好みで、バターを加えたり、
パセリやカイワレ大根、
刻み海苔などをかければ、
また違ったアクセントの味わいを楽しめます。
貧乏な学生料理のようですが、
見方を変えると、
材料をストイックに極限までそぎ落とした
非常に完成度の高い料理と
いうことができるでしょう。
ある種の品格さえ感じさせます。
「発明」からすでに30年以上の歴史を持ち、
高級イタリアンのパスタとは全く違う
アプローチで、庶民料理の頂点を極め、
誰にでもおいしくつくることができるという
点も素晴らしいのです。以上のような理由で、
「料理百名山」のだい2号に選定したいと
思います。

posted by トッチ at 12:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 料理百名山 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月28日

「料理百名山B」鯖の水煮缶

さば缶IMG_0039.JPG
缶詰は、料理か、料理ではないか?
僕の中でも議論百出しましたが、
それは缶詰の種類による
という結論に達しました。
たとえば、ナポリタンの友
マッシュルームの缶詰などは、
単独で食べるよりも食材として
使うことの多いものなので
料理とは呼びません。そのままで
おいしく食べられる
鯖缶、鮭缶などは料理と
したいと思います。
そもそも料理とは、コスト、味、
手間、いつ、どのように食べるか
など総合的な条件によって味わいに
大きな差が生じるものです。
どんなに好物でも、
高級過ぎて手が届かなければ
ないのと同じです。、
食べたいと思ったときに
食べられなければ
旨さも半減してしまいます。
数寄屋橋次郎の寿司を夜中に
食べたくなっても
それは無理な話です。
インスタントラーメンの優秀さも
同じですが、缶詰は、常備食として
いつでもどこでも
食べたいときに食べられる。
これは、大きな強みです。
しかも、鯖の水煮缶は、
数ある鯖料理の中でも
最上位に挙げても
いい調理法だと思います。
僕は、個人的にはシメ鯖の次に
好きなくらいです。
安い上に、魚の臭みはほとんどなく、
お酒のつまみ、ご飯のおかずに最高です。
我が家では、休日の昼間や夜中に
突然酒盛りを始めることがあるのですが、
こんな時にも強い味方です。
七味唐辛子とマヨネーズを
ちょっとつけて食べるとさらに
お酒が進みます。
鯖の味噌煮缶も大好きですが、
これは、生鯖の味噌煮には
かなわない味だと思います。
鯖の水煮は、シンプルな塩味のよさが
存分に発揮されている料理と
言っていいでしょう。
世のグルメな人々の「塩味」崇拝の傾向に
懐疑的な僕としては、悔しいのですが、
鯖の缶詰に関しては、この塩味が
たまらないのです。
また、鮭缶のほうが高級ですが、
缶詰独特の匂いと
鮭の匂いの交わり方が僕には
あまり心地いいものではなく、
料理百名山としては、
鯖の方を選びたいと思います。
posted by トッチ at 22:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 料理百名山 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月30日

「料理百名山C」サッポロ一番みそラーメン

とっころみそIMG_0223.jpg
「マルちゃん正麺」に代表される
本物志向系インスタントラーメンの
ブームが一段落したようです。
初めて食べたときは、
その味や食感に驚いたものですが、
僕にとっては、それは邪道にしか思えません。
さらに、スーパーマーケットにはチルド系や
冷凍系など最近は本物に近い味の再現を狙う
ラーメンが競っており、どれもお店で食べる味を
ゴールにした戦いです。つまり、
お店の味を超えることはできないのです。
これは、インスタントラーメン・ファンである
僕が望む味とは正反対のベクトルの競争です。
インスタントラーメンとは、もはや
お店で食べるラーメンとは違うジャンルの
「料理」であり、本物の代用食ではないのです。
行列のできる有名店の前を素通りしても、
インスタントの味が食べたい日があるのです。
特に「サッポロ一番みそラーメン」は、秀逸。
袋麺の中では、他を圧倒する美味さだと思います。
味噌の風味にかすかにニンニクなど香味野菜の香り、
スープに漂う品のよい酸味が絶妙です。これが
非の打ちどころのない完成された味である証拠に、
僕は、テレビCMで繰り返し勧めていた
季節の野菜を一緒に入れて作ってみたのですが、
全くおいしくない。野菜を炒めて入れても駄目です。
せっかくバランスのいい味が、
目茶苦茶になってしまうのです。
サッポロ一番の宣伝担当の皆さん、
こういうCMはお止めになることを
お勧めします。野菜を入れるなら、
刻み葱だけにしたいものです。
ちなみに僕の好みで言えば袋麺の
2番手は「日清チキンラーメン」、
3番手は「サッポロ一番塩らーめん」
と続きます。
これから寒さが徐々に忍び寄り、
「サッポロ一番みそラーメン」に
絶好の季節がやってきます。
心まで凍りそうな寒い日には、
熱々のところを一気にやっつけましょう。

posted by トッチ at 21:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 料理百名山 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月03日

「料理百名山D」崎陽軒のシウマイ弁当

崎陽軒IMG_0254.jpg
僕は、駅弁が好きで、
旅行最大の楽しみと言っても
いいぐらいです。
最近の駅弁は群雄割拠、
デパ地下の弁当売り場もそうですが、
東京駅の駅弁コーナーなど、
行くだけで楽しく、いつも
電車の発車時刻ギリギリまで
迷ってしまうほどです。
ただ、最近の傾向として、
ウニ、イクラなど豪華な海鮮を
乗せた弁当や、高級ブランド牛の
ステーキ弁当、料亭や有名洋食店の
つくった弁当など、かつての駅弁では
考えられなかったものが、
けっこうな人気を集めていて
価格も庶民が買うのにちょっと
勇気のいるものが普通に
売られています。
僕は、これはちょっと違うと
思うのです。お店や家で食べる
ものを電車の中で食べることは
ないと思うのです。
駅弁のルーツは江戸時代の芝居見物の際に
食べた「幕の内弁当」といわれますが、
芝居見物より圧倒的に多くの人が
利用する電車の中でおいしいごはんを
食べるために進化し、
駅弁にしかない旨さを
生み出したものだと思うのです。
その代表が「崎陽軒のシウマイ弁当」です。
僕は、様々のものにトライしましたが、
完成度という意味ではこれが
ぶっちぎりのナンバー1だと思います。
まず素晴らしいのが
経木の弁当箱です。
この香りがご飯に移るので
ご飯だけでめちゃくちゃ
おいしいのです。
ご飯自体も蒸気で蒸しているそうで
一粒一粒弾力があり、
これぞ駅弁ご飯の王道という感じです。
そしておかずのバランスの良さ。
ひとつひとつのおかずが、
それぞれの個性を開花させたスター揃い、
中華ではありますが、他の幕の内弁当を
寄せ付けない強さだと思います。
シウマイはそもそも冷えてもおいしいものを
ということで開発されたとのことだし、
鶏の唐揚げ、卵焼き、マグロの煮もの、
かまぼこ、筍煮などが入って830円。
ビールのおつまみにも絶好です。
僕の場合、最初はビールのお友に、
最後は、紅ショウガ、昆布の佃煮で
余ったご飯をやっつけます。
1954年発売とのことですが、
これは、駅弁というジャンルをはるかに
飛び越えて、ひとつの料理としての
頂点を極めています。僕の心の中の
審議会としては満場一致で、
「料理百名山」に選定したいと思います。










posted by トッチ at 00:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 料理百名山 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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