日本百名山の深田久弥に習い、
「品格・歴史・個性」を兼ね備えたものという
基準を設けたいと思います。
ただし、この基準を大きな意味で充たせば
ミシュランや有名グルメ評論家が
絶対に選ばないチェーン店や庶民の味も
選定対象としたいと思います。

そこで、記念すべき1つ目の「料理百名山」は、
ファーストフードとしては老舗、
100年以上の「歴史」を持つ
「吉野家の牛丼」にしようと思います。
その味は、「松屋」や「すき家」、
家で作る高級和牛のすき焼きの残りを
のせた牛丼でも代替することができない
「個性」を持った唯一無二の味です。
チェーン店の味というのは、
冷凍だったり、チルドだったり
あるいはセントラルキッチンでの
大量生産だったりで、
どこも「チェーン店」の味とでもいうような、
独特の代替品のような味がするものです。
つまりその味の目指すベクトルは「本格的な味」
に向いているような気がするのです。
それを、安く早く提供するということを
ビジネスモデルにしているように思えるのです。
対して吉野家の味は、何かの代替ではなく、
「吉牛の味」という、牛肉の料理の仕方の
ある種の頂点を極めているように思うのです。
安い輸入牛をこれほど
おいしく食べることができる幸せ。
店のロゴや、カラーリング、
システマチックに設計された椅子、
テーブルなどの配置、
丼ぶりのデザインに至るまで
数百円で食べることができる
食事処としては、
そのキッチュな感じも含めて
ある種の「品格」を持っていると言って
いいのではないでしょうか。
僕はときどき
どうしても吉牛が食べたくなります。
近くに他の牛丼店があっても
吉野家を探します。
紅ショウガをたっぷり乗せて、
七味をパラパラ振りかけ、
一気に食べます。
ちびちびと上品に食べていては
旨さがわからない。
あったかいうちに、
高校生のように食べる。
てなことを、写真を見ながら
書いていたら、
また食べたくなってきました。