2016年11月10日

酒場は人間交差点E「同伴キャバクラ嬢との食事に領収書?」

お多幸ハイボールIMG_0385[57].jpg
銀座、六本木界隈で
早い時間に飲んでいると、
僕にも手の届くそれほど
高級でもないお店で、
同伴出勤のキャバクラ嬢と
食事をする中年男性をけっこう
見かけます。こういうお店で、
見かける男性には、
2つのタイプがあることに
僕は気付きました。

1つ目のタイプは、
サラリーマン、
役職でいえば課長とか
部長とか、ある程度経費が
使える男性です。
着ているスーツは、
安くないとは
思うのですが、
安っぽくみえる上に
似合っていない、
顔は脂に満ち溢れていて
欲望と野望にまみれた
人生が垣間見えます。
どちらかというと
女性のほうが気を使って
いろいろ相談ごとなど
している様子です。
お酒も料理も特に
贅沢をしているわけではなく
まだ一軒目、これから
同伴出勤するキャバクラに
備えてセーブしているといった
感じでしょうか。
時々聞こえてくる
話は、かなり上から目線、
自分の優秀さを
誇示するタイプです。
僕が女性だったら、こういう男は
嫌だななどと思ってしまいます。
で、必ずこのタイプは、
会計のときに
領収書をもらいます。
日付を入れないで、
などと聞こえてきます。
「接待でもないのに領収書かよ!」
と、僕は心の中で叫びます。
この日は、おでんでしたが、
僕の中では、やけ食いにも
近い感情が渦巻き、
唐揚げや串焼きなども
無意識に注文していて
目の前のテーブルは
お祭り状態です。

さて、2つ目のタイプは、
個人事業主とか中小企業の経営者
といった風情。服装はおそらく
ブランド物ですがノーネクタイ、
けっこうカジュアルな
デザインを着ています。
太鼓腹であることが
シルエットを台無しに
してはいますが、
悪くない印象です。
遊びなれている感じで、
様々な女性におそらく相当
お金を使い、それなりに
いい思いをした成功体験が
あるのかなと想像されます。
というのも、男性には
余裕がある感じで、
けっこう女性との
会話は弾むし、発言は、
上から目線ではなく同じ高さ。
女性は警戒しつつも、
男性のペースに押され気味です。
漏れ聞こえてくる会話から僕は、
「なるほどねえ!」
などと感心してしまったのですが、
最初の頃はグルメの話題で
大いに盛り上がります。
そこで、好きな食べ物を聞き、
今度それの美味しい店があるから
行こうよ、といいます。
いうだけでなく、
空いている日を訊きます。
女性がその勢いに
たじろいでいると
押せ押せで聞き出し、
約束を取り付けます。
次に、旅行の話題です。
ミラノはよかった、
フランスは3度も行った、
ニューヨークは仕事で何度も、
などとこれまた話で
盛り上がります。
国内はどう?温泉とか、
という男性に、
女性は大好きです、
などと応えます。
まんまと罠にかかった
小鳥ちゃんです。
ひとしきり温泉の話題をし、
じゃあ、そんなに行きたいなら
今度、湯布院行こうよ、
となります。
あいまいに、行きたいですね、
などと答えても、
許されるはずは
ありません。ここからは、
押せ押せ攻撃。
いつ空いてる?となります。
女性がしばらく忙しい
といっても、
落ち着くのいつ頃?
となります。
どんどん追い
詰めていくのです。
なるほどねえ、
などと僕が心の中で
しきりに感心していると、
隣の奥さんの話に
身が入っていなかったのが
バレてしまい、
僕は大変な事態に。
同伴カップルの
会話どころでは
なくなってしまいました。
そうでなくても飲み過ぎ
ているところに、
さらにアルコールを
注ぎ込むことになり
次の日の僕はボロボロでした。

あの女性、餌食になって
しまうのでしょうか?
それは綺麗な女性でした。
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2016年11月21日

酒場は人間交差点F「BARの美しいお1人様」

バーカウンターIMG_0639 (002).jpg
僕は一時期、BARに
毎晩のように通いました。
大人になるための
通過儀礼とでも
いうのでしょうか、
その面白さに目覚め、
ずいぶん借金もつくって
しまいました。

いろいろなBARに
いきましたが、
どこのお店にも
必ずといっていいほど
美しい女性のお1人様
を見かけます。
カウンターの隅っこで
ほぼ女性が一方的に
バーテンダーに
一日の出来事やグチなどを
喋りかけています。
バーテンダーは話に
反応しながらも
仕事の手を休めません。
その様子から、
常連とすぐにわかります。
そこそこの金額を
取られるこういうお店の
常連になるにはそこそこの
稼ぎがなければ無理だと
思うのですが、
漏れ聞こえてくる話からは
普通のOLのように
思えます。

僕も常連の一人に
名を連ねるようになると、
その女性はかなり
長い時間店にいるのですが、
毎回ほぼ一杯か
二杯しか飲んでいないことが
わかります。実は、
他の常連さんから
奢ってもらったり、
水を飲んでいる時間の方が
長いのです。

女心に疎い僕でも
イケメンのバーテンダーが
目当てとわかります。
カクテルを作る手際はもちろん、
お酒の知識や蘊蓄などが
豊富で、お客から仕入れる
世間のあれこれの裏話なども
面白く話してくれる
優秀なバーテンダーは、
男の僕から見ても
カッコイイと思えます。
女性が惚れてしまうのも
無理はありません。

ある時からその女性が
あまりバーテンダーに
話しかけなくなります。
お店が混んでくると、
気を使って席を譲り
帰ってしまう
こともあります。
「ははーん!」
なのです。
たぶん2人は一線を越え
深い仲になったのです。
お店に来る回数も
やがて減っていき、
お店がハネルぎりぎりの
遅い時間に
待ち合わせのように
来ることも多くなります。
ほとんどの常連は
その事態を把握しますが
そこは野暮なことをいう
人は誰もいません。

この女性は、ある時から
ぱったり姿を
現さなくなります
噂では、バーテンダーと
別れたそうです。
僕は、このような
お1人様を
何人も見ましたが
ハッピーエンドを
見たことはありません。
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2016年11月27日

酒場は人間交差点G「野生の酒場」

大船カウンター引きIMG_0244 (002).jpg
サラリーマンがアフター5に
立ち飲み屋に繰り出すと、
4時からオープンしている
店内はすでに静かな熱気に
包まれています。
日本酒率が高いように
僕には思われます。
モツ煮や焼き鳥を
ほんとうに美味しそうに
食べ、素晴らしい笑顔と、
常連同士のいつもの
馬鹿話で盛り上がっています。
いいお酒というのは、
こういうもののような気がします。
早朝から働いている人、
年金暮らしの高齢者、
自営業の人、ガテンの人、
不良サラリーマン、
職業不詳の怪しい人など、
この時間の立ち飲み屋は、
ファーストシーンから
視聴者をクギ付けにする
ドキュメンタリーのようです。

僕が行く立ち飲み屋は
何軒かあるのですが、
時間ごとに現れる
人々の雰囲気が
変わるのがとても
興味深い現象です。
あたかも、サバンナの
水場に現れる動物たちが
時間ごとにその種類を
変えるように、
人々は入れ替わり、
酒場が放つ匂いも
入れ替わるようです。

5時を過ぎると、
サラリーマンの匂いが
一瞬で店の色を
塗り替えます。
話題が、会社のグチや
武勇伝、女性に関する
下世話な話題、
ニュース番組の
コメンテーターの
コメントの受け売りを
得意げに語る人など、
一気に僕がよく知る
サラリーマンの世界に
なります。
笑顔率が先ほどより
減少しているような
気がします。
僕がドキュメンタリーの
ディレクターなら
この時間はパスだと
思います。
人間としての迫力が
足りないというか、
僕もそうですが、
会社という安全地帯に
守られている人種は、
野性味を失い、
動物園の芸を仕込まれた
動物のように、
上司の前でクルクル
回ることしか、
できなくなって
しまったのです。

5時前にこの
お店に来ている人たちは、
おそらく、世の中が
どんな混沌に陥ろうとも
自分で野生の獲物を
仕留めることの
できる人々です。
僕は秘かな憧れと
尊敬の念をもって
彼らがお会計をして
帰るのを見送ります。

一方、隣のサラリーマン
2人組の上司らしき1人が
説教モードに入ったのを、
僕は聞くに堪えず、
店を後にしました。
こうなったら、
ラーメンの大盛りでも
一気にやっつけて、
「ウオー!」と
野生の雄叫びを上げる
しかありません。
posted by トッチ at 11:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 酒場は人間交差点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月14日

酒場は人間交差点H「夫婦喧嘩の料理店」

登川ハイボールIMG_0774 (002).jpg
地元密着型の
小さな飲み屋さんが、
僕は好きです。
以前住んでいた街に
腕のいい板前さんと、
綺麗な奥さんの2人で
営んでいるお店がありました。
無口だけどきちんとした仕事をする
板さんの小粋なおつまみに、
愛想のいい奥さんとの見事な
連係プレーで、
カウンターと小さな
テーブル席2つのお店は、
連日ほぼ満員状態でした。

奥さんは旦那さんの腕を信じ、
誇りに思い、何でも「はい」と
従うタイプでした。
聞くところによると
以前に働いていた店で
知り合ったそうです。
小さくても常連客に愛される
店を持つのが夢だという点で
意気投合し、結婚。
約5年で独立し、今のお店を
開くに至ったのだそうです。

オープンしてすぐに
常連になった僕は、
開店2周年パーティーの
頃から、2人の仲がギクシャク
し始めたのを感じていました。
無口でいい仕事をする
旦那さんが、女性客にもてるのです。
さらに、お店が繁盛したせいもあって
アルバイトの女性も入り、
気が気ではない様子。
ある日のこと、
アルバイトの女性が急に休み、
お店はてんてこまいの状態でした。
奥さんは、イライラしている
様子を隠すことが
出来なくなっていました。
もちろん、お客に対しては、
とても愛想がよく、
というよりは、必要以上に
愛想がよく気持ち悪いほどなのですが、
旦那さんが頼みごとをしても
返事もしません。
「3番さんに、お冷ね!」
「・・・・・」
「3番さん、お冷だよ!」
「・・・・・」
この沈黙。常連客達は全員、
ピリピリした
空気に包まれます。
居てもたってもいられません。

奥さんは、基本的には
オーダーとり、会計などに加えて、
ドリンクの注文を一手に
引き受けています。
日本酒ソムリエの資格もある上、
簡単なカクテルならその辺の
バーよりおいしいものをつくります。
旦那さんの大きな声にも
全く無反応で、
常連客との日本酒談議に
花を咲かせています。
板さんは、さばき切れないほど
たまったオーダーをこなすのに
目いっぱい。アルバイトの女性が
やるはずの洗い物も
こなしながらですから、
こちらもイライラしています。
「すいません、ハイボールまだですか?」
「こっち、刺し盛り来てませんけど」
空気を読めない新顔のサラリーマンが、
追い打ちをかけます。
僕は、この忙しさの中、
会計を頼むこともできず、
何も悪いことをしていないのに、
針のむしろに
座らされたような気分で、
空っぽのグラスの氷をカリカリ
かじりながら、
じっと耐えるしか
ありませんでした。

その後、あるときから
奥さんは店に出なくなりました。
無口で話かけにくい板さんに、
その理由を聞く勇気はありません。
常連仲間に聞いても、
専業主婦として仲良くやっている
という人もいれば、
何かあったようで
別居しているという人もいて、
詳しくはわかりません。
旦那さんに「はい」
と従っていたあの
愛想のいい奥さんは、
どこへ行ってしまったのでしょう。



ラベル:グルメ
posted by トッチ at 21:41| Comment(0) | 酒場は人間交差点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月23日

酒場は人間交差点I「伝説の屋台・恵比寿おゆき」

恵比寿駅前IMG_0513 (002).jpg
恵比寿ガーデンプレイスが
出来る前。
恵比寿がまだ田舎臭い
ダサイ街だった頃の話です。
駅のすぐそばに、
深夜に開店し、
朝までというより
昼頃まで営業している屋台が
ありました。小さな屋台なのに
鯨のステーキとかカレーとか、
気の効いたおつまみもがあって
飲食業界に働く人や、
学生、不良サラリーマンが
飲みに飲んで、
不思議な熱気に
包まれていました。

伝説の屋台「おゆき」です。
「おゆき」というのは、
このお店を紹介してくれた
先輩に教わった名前で
正確にはなんという
お店だったかわかりません。
ここは、一晩飲み続けて、
まだ帰りたくないときの
最後の砦のような場所。
店主が「おゆき」さんという
年齢は50とか60とかの魅力的な方で、
この人を慕ってみんなが
集まっているような感じのお店でした。

だだっ広い広場(記憶では)に
ポツンとある屋台なので
トイレはなく、
その辺で立ちション。
べろんべろんに酔っ払った
客も多く、大声で
大騒ぎしたりしていましたが、
全然平気。租界のような
怪しげな雰囲気に満ちていました。
水商売のいい匂いをさせた
お姉さんや、ちょっと怖そうな
お兄さんとも何だか、
妙に打ち解けて、楽しく飲んだ
記憶があります。

程なく、朝日が昇り、
通勤の大勢の人々が駅を目指し、
早足で歩いて行きます。
その風景の、美しいこと。
こちらは、べろんべろん。
真面目なサラリーマンが
軽蔑するような目で
僕たちに視線を突き刺しますが、
酔って気が大きくなった
こちらとしては、
逆に会社の奴隷になっている
彼らに憐れみの視線を
返すのです。
この不良気分。
僕もこの頃は
まだまだ若く、エネルギーに満ち、
なんだか人生楽しいぞと
思ったのはよく覚えていますが、
その日、どうやって会社に行ったのか、
行かなかったのか、よく思い出せません。

ガーデンプレイスが
出来ると、屋台を置く場所は
なくなり、僕たちダメな酔っ払いの
聖地はなくなってしまいました。
あの頃、あそこで飲んでいた人々は、
いま、どこで飲んでいるのでしょう。

ラベル:酔っ払い
posted by トッチ at 00:18| Comment(0) | 酒場は人間交差点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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